NVICの企業分析手法

弊社の企業分析では、一時的に株価が値上がりする企業を見つけることに主眼を置いていません。長期的に優れた業績を達成し続ける企業を見極めることに焦点を当てています。

投資対象である「構造的に強靭な企業🄬」には、業種の垣根を越えた共通する事業特性が存在すると考えられます。そのため弊社では、他のアセットマネジメント会社では一般的な業種別担当アナリスト制を採用せず、すべてのアナリストはジェネラリストとして業種横断的に事業特性を見極め、分析する体制としています。

チーム編成と分析スタイル

日本企業と海外企業の分析を別々のチームでおこなっているアセットマネジメント会社がほとんどですが、弊社ではすべて同じチームでおこなっています。実際に2012年から実施している海外企業の分析や対話の蓄積は、かけがえのない資産となっており、日本企業とのビジネスモデル比較や競合環境分析などの面でも大いに役立っています。

分析手法は、すべてのアナリストが共通の投資哲学にもとづいた分析スタイルとフォーマットを採用しています。この手法のもと十数名のアナリストが企業を分析し、分析結果はタイムリーにCIO以下、投資チーム全員に共有され、議論が交わされます。最終的にはCIOである奥野とシニアリサーチアナリストで構成されるポートフォリオマネジメント会議で各企業に対する投資方針が検討され、奥野の判断により各企業への投資割合が決定されます。

担当アナリストとCIOだけでそれぞれの担当企業についての情報を囲い込むのではなく、投資チーム全体で情報を共有しアナリストそれぞれの企業・産業に対する知見を持ち寄って議論することで、一段と分析の質が深まります。また、共通のモノサシで判断することでアナリスト間での情報のバラつきや解釈の違いが最小限に抑えられ、一貫性のある分析が実現されます。その結果、正確な情報に基づいて投資判断を下すことができ、全体として投資の品質向上に寄与しています。

企業分析の観点

企業分析の際、弊社は「構造的に強靭な企業®」にとって必須の要素である3つの観点を基盤にしています。

付加価値の高い産業・事業か?

事業が本当に人々や社会にとって必要なのか、これがすべての分析の出発点です。人の生活を支える財・サービスもあれば、顧客の困りごとを解決するサービスもあります。事業の付加価値が高くなければ、そこから超過収益を継続的に獲得することは困難であるため、その評価が不可欠です。

圧倒的な競争優位性があるか?

高い付加価値を持つ事業でも、他社が簡単に参入できる場合、その収益性は持続しません。他社がその事業への参入をあきらめざるを得ないほどの競争優位性を「参入障壁」と呼んでいます。NVICは長年の経験を通じ、参入障壁の類型化を行っており、これが分析に際しての強固な土台となっています。

長期的な潮流に乗っているか?

長期的な潮流とは一時的な流行やテーマを指すものではなく、人口動態の変化など⻑い歴史の中で確実に、不可逆的に進⾏してゆく世の中の動きを指すものです。その流れを追い風にできる事業であれば、付加価値と競争優位性をいっそう⾼め、中⻑期的な企業価値の増⼤をもたらすブースターの役割を果たすことになるため、産業・事業が長期潮流を捉えたものかどうかも見逃せないポイントです。

自分たちの足と目を使った企業分析

私たちの企業分析の特徴の一つが、自分たちの目と足を使って現場を見るというものです。長い業歴を通じ、構造的に強靭な企業のパターンを認識してきました。そのパターンをもとに、まず企業の財務諸表やプレゼン資料、産業動向などを徹底的に分析し、その数字や定性情報から企業の強さや安定性を読み取ります。しかし、数字だけで分析は終わりません。実際に現場を訪問し仮説を検証しています。

企業訪問での仮説検証

我々は企業および産業の数字や定性情報を分析したうえで仮説を立て、その仮説を実際の企業訪問で直接検証します。また、投資先候補となる企業のみではなく、その分析を進めていくなかで名前の挙がった競合企業や周辺産業企業についても訪問し、我々の仮説の裏付けに役立てています。このプロセスを繰り返し、事業の付加価値、競争優位性、企業の真の価値を正確につかむことができます。IR担当者のみならず経営陣との対話を重視し、その中で企業の事業や戦略に関する深い議論を展開するのがNVICの最大の特徴といっても過言ではありません。

実際の工場見学

特に製造業の場合、工場を実際に訪問し、製造プロセスや工場の様子を直接確認します。これにより、数字だけでは得られない企業のこだわりや強み、方向性を実感できます。

企業分析レポートのサンプル

ABCマートのケーススタディ

おおぶねオーナーだけが見られる限定サイト「おおぶねメンバーズサイト」では、月次で企業分析などのレポート資料を公開しています。ここではその中からサンプルとしてABCマートの企業分析レポートをご紹介します。

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