企業と同じ舟に乗り、企業価値を向上する
企業価値増大を目的とする企業経営者と長期投資家は、同じ舟に乗っていると例えられます。そのため長期投資家は投資先企業の企業価値創造をサポートするべく、企業と対話し健全な関係性を築くことができます。
弊社は発足当初から株式の長期保有を前提に、企業価値を切り口とした分析活動と対話を通じて、投資先企業と事業の経済性に関する知見や洞察を共有し、信頼関係を構築してきました。
このような投資先企業と長期投資家のWin-Winを目指す関係が長期的な企業価値の創造を促し、投資先企業や顧客のみならず社会全体の価値向上に貢献できるものと信じています。
外部環境による対話の変化
企業が直面する外部環境の変化により、企業が求める対話の内容は変化します。近年においては、伊藤レポートを契機とした企業価値向上に向けた意識の高まりや、コーポレートガバナンス・コードの導入、東証による市場区分の再編などにより、多くの日本企業が企業価値を意識した経営のさらなる向上を求められています。
とりわけ、2023年3月に、東京証券取引所が「資本コストや株価を意識した経営」の実現に向けた対応について、具体的な要請をしたことにより、上場企業には企業価値、およびその計算の前提となる資本コストを意識した運営がますます求められています。そうした中、弊社は、グローバルな分析・対話活動で培ってきた知見を提供するべく、企業との対話を活発に行っています。
対話のケース紹介
これまで数多くの企業と対話を実施してきました。その中から一部を抜粋して、対話の概要と企業側に及ぼした効果をご紹介します。
対象先 | 対話の進展 | 効果 |
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化学会社A社 | ①弊社社長より海外のイノベーティブな企業である米国M社に関する勉強会依頼 ②社長ほか役員への勉強会実施 ③弊社R&D部門への勉強会実施 | 縦割りR&Dからの脱却に向けた意識改革(決算説明会においてもプレゼンを挿入) |
電工会社B社 | ①弊社課長との面談の中で、部門別資本コストに関するニーズを捕捉 ②部門別資本コストを算定し解説 ③弊社部長と事業の競争優位性の評価と資本コストについてディスカッション | ROIC・資本コストによる事業評価に関する管理手法の高度化 |
重工会社C社 | ①弊社課長との面談の中で、部門別資本コストに関するニーズを捕捉 ②副社長ほか役員向けにROIC・資本コストの枠組みに関する勉強会実施 ③先方ニーズにより、第2回目として、コングロマリット企業の意義について勉強会実施 | ROIC・資本コストによる事業評価に関する管理手法の高度化 コングロであることの意味に関する意識向上 |
書籍紹介
企業価値向上のための資本コスト経営
投資家との建設的対話のケーススタディが書籍化されております。弊社のCIO(最高投資責任者)である奥野一成が、第4章「長期投資家にとっての資本コスト」を執筆しております。ご興味がある方はぜひご覧ください。